コラム2

結婚について

8、子供が生まれる前に、どのような子供の育て方をするのか徹底的に話し合う必要があります。なぜなら、子の育て方は、お互いに自分が育てられたやり方しか学んでこなかったので、その文化の違いが、けんかの元になります。
そのことが決定的な原因で、離婚と言うことすらありえます。

9、ところが、いわゆる「恋愛」というのは、そのような観点から考えられていません。   相手の「思い通り」になるような振りをして、相手を騙している(主観的に騙していると自覚している人が多いとは思いませんが)のが、大部分です。

  

それは、「愛」についての誤解に基づくものです。

  

「相手を自分の思い通りにしたい」と強く思ったとき、あなたは相手を愛していると言うのです。また、相手に気に入ってもらいたい、そのためには、相手の思い通りをかなえようと思うときも同じです。
また、相手から愛されているのなら、相手は自分の思い通りになってくれるはずだと思っているのです。

  

これらは、すべて自分勝手な「思い込み」にすぎません。あなたは、「自分の思い通り」の実現を望んでいるだけで、決して相手を愛しているわけではないのです。

  

「可愛さあまって、憎さが百倍」という古い言葉がありますが、ほんとに愛しているのなら、相手が自分の思い通りにならなくても、「憎む」と言う感情は生まれないのです。「自分の思い通り」になるべきだ、また、そうしたいと強く思っているときに、そうでない事態に対して、腹も立つし、そういう態度をとる相手を憎いと思ってしまうのです。

  

自分の思い通りを相手に押し付けておいて、そうでないと腹を立てるというのは、しつけが充分でない幼児が、思い通りにならなくて泣き喚くようなものです。

大抵の離婚は、こういう思いのすれ違いが大きくなって、相互理解ができにくくなって起きるようです。

10、「一緒に苦労を分かち合って欲しい」というのも、一種の「自分の思い通り」ですが、相手も「一緒に苦労を分かち合って欲しい」と望んでいるのなら、そしてお互いに苦労を分かち合うことの了解が成立しているのなら、あなたは、「自分の思い通り」を相手に押し付けているわけではありません。

11、実は、相互理解と相互受容という必要性は、夫婦関係を維持するためにのみ、あるのではありません。
あらゆる人間関係において、人間が学ばなくてはならないことなのです。
  

人はみな自分を理解してくれている人が好きです。
理解してくれているはずと思える人も好きですが、この人が本当にあなたを理解しているかどうかは、疑問です。相手の態度から理解してもらっているはずと、自分の希望を一方的に投影しているケースが多いからです。

相互理解や受容は、言葉によってちゃんと確かめ合いましょう。
心の底では、自分の気持ちや行動、今置かれている自分の境遇や立場や苦悩を誰かに聴いて欲しい人ばかりです。

しかし、それを聞かされる相手の人も同じ思いなのです。
そこで、相互理解と相互受容が成り立つのです。

 

現代人を蝕む孤独感や疎外感は、これらの欠如から生まれていることに気づくべきだと思うのです。

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