事件ファイル

事件1.自己破産

大手銀行に勤めるFさん。友人知人から借金を重ね、サラ金からも借り入れ、ついには取り立ての電話が頻繁に来る。

バブル時代に友人の勧めで不動産投資をして数千万の損をしたというが、よく聞いてみると、詐欺の被害にあっていることが判明。妻子からも愛想をつかされ離婚の危機。銀行を辞めて退職金で一部を支払うと計画するが、その後の生活のめどは立てられない。

この時代に中高年の再就職の困難さと低賃金を思えば、絶対に銀行を辞めてはならないと説得。上司や人事部に事情を話し、自己破産をして復権する (半年の辛抱)まで、周囲の白い目に耐えて、かつ仕事に専念して会社に貢献できる人材になるようにさらに努力せよと薦める。ローンで買ったマンションを売却し、妻子と離婚、一人暮らしを始める。

受任通知を各サラ金会社宛に出して、取立てを止めさせる。その上で、自己破産の申請をした。

事件2.損害賠償示談折衝

一生を工事現場で、真面目に熱心に働き続け、定年退職後嘱託の身分になってから、肺がんで死亡したEさん。肺からアスベストの破片が発見され、人の勧めで労災認定を申請していたEさんの妻。

会社は見舞金を支払うといっているが、「それでいいのだろうか」かといって、会社を愛していたEさんの心情をも思うと、会社と争うことは夫の意思に反すると悩む妻。弁護士間交渉でEさんの妻は満足な金額で円満示談解決。

事件3.契約締結交渉

バブル時代に、大都市の一等地にあるビルを買収し、新しいビルを建設した不動産会社D。高額での購入を約束していた買主は、バブル崩壊と共に、資金繰りが苦しくて実際には買ってくれない。すでに買収・建設資金は自己の責任で銀行から借り入れ、利息を支払い続けている。

幸い、このプロジェクトが融資元の銀行からの依頼に基づくもなので、銀行と買主との契約交渉がメインテーマ。結果は、一種の会社分割をして、プロジェクトに関係ある資産と債務を負担している不動産会社そのものの売買をすることで問題解決。銀行の協力がないと成立不可能な解決法だった。

事件4.欺的勧誘にひっかかる

その1

まじめなサラリーマンのBさん。友人のセールスマンの勧誘に乗せられて、商品先物取引という危険な取引を始める。するとその業者から、どんどん追加証拠金の積み増しの請求が来る。

何の知識もない彼は、売ることも買うこともできず、おろおろするばかり。自分が情けなくて落ち込んでいた。この種の勧誘は、いかに人をだますか日頃研修を積んでいるプロが多いから、騙されるほうが悪いのではなくて、騙すほうが悪いのだと励ます。

こちらの対応は、受任通知(弁護士がこの問題の対応をする旨の通知)を出し交渉したところ、業者は本人が損をしないような形での手仕舞いに応じた。

その2

外国為替証拠金取引という極めて危険な取引なのに、絶対儲かるという甘言に乗せられた老人Cさん。

Cさんは数百万円の投資をするものの、すべて損となる。そのことで、Cさんは業者に話し合いを求めるが相手業者は、まったく応じない。

業者の社長は、これは一種の賭博で危険は覚悟していたはずだと主張する。やむなく投資金額の全額の返還を求めて訴えを提起する。消費者契約法に基づく契約取り消しか、不法行為か、法律構成は種々考えられるが、最も早く簡単な証拠調べで終わる別の法律構成で、返還請求事件を提訴。依頼者がお金を急いで必要ということから、元金を何割かまけて早期和解で決着。

事件5.インターネットによる名誉毀損

東京近郊に住むA子さん。彼女の病気のせいで、親しくしていたメル友から誤解され、彼女を非難する内容の記事をホームページに掲載された。また、複数の無料ホームページサイト運営者のサイトに多数(20~30)のミラーサイトをアップされ、削除してくれないとの相談。

この問題は、いわゆる「プロバイダー法」が関係している。今回は、各サイト運営者に対し、被害を訴える内容証明を送付し、削除していただくことで、問題解決したが、この加害者に対し損害賠償請求するとなると、プロバイダー法に基づく情報の開示請求が必要になる。